今回紹介する映画は トゥルー・ストーリー
概要
2015年のアメリカのミステリー ・スリラー映画で日本では劇場未公開
監督:ルパート・グールド 舞台の芸術監督で有名 代表作『マクベス』など
脚本:ルパート・グールド
デヴィッド・カイガニッチ 代表作『サスペリア』(2018年)など
また、撮影監督に群馬県出身の高柳正信が名を連ねている。
上映時間:104分
原題:True Story
原作:2005年のマイケル・フィンケルの回顧録『真実の物語:殺人、回想録、そして自責の念』
この原作の映画化権をブラッド・ピットの制作会社が獲得し、
ピットは、製作総指揮として作品に参加している。
『真実の物語:殺人、回想録、そして自責の念』解説
原作者のマイケル・フィンケルは、ニューヨーク・タイムズの元記者であり、
そのキャリアや評価は申し分なく順風満帆なはずだったが、
同紙マガジンで虚偽の記事を書いてしまい、
その輝かしい記者人生はあっけなく崩れ去ってしまった。
そんな、人生の岐路に立たされた彼の元へ、
地元紙の記者から一本の電話が入る。
それは、FBIの最重要指名手配犯クリスチャン・ロンゴという男が、
フィンケルの名を騙りメキシコで逃亡生活を送っていたと言うものだった。
しかし、面識もないロンゴが、何故自分になりすましたのか…
フィンケルはその答えを求め、刑務所に収監されているロンゴの元へ向かう…
しか~し、ここから男2人の奇妙な関係が始まった!
こうして、フィンケルは、突然に巻き込まれたロンゴ事件の顛末を
1冊の回顧録に纏めたのだ。
その内容は、タイトルから想像できる通り、
フィンケルにとって、屈辱的な経験であっただろうと思う。
そして、この原作は、賛否両論に評価が割れている。
見どころは、捏造記者VS凶悪犯の心理戦
妻と幼い子供3人を殺した凶悪犯のロンゴ。
しかし、彼の第一印象は、落ち着いた物腰で好感の持てる男だった。
ジャーナリストとして岐路に立たされたフィンケルは、これを再出発の好機と捉え、
ロンゴとの面会を重ねる。
ところが…ロンゴはそんな甘い男ではなかった!
この作品は、フィンケルの目線でロンゴが描かれていく。
好印象だった彼が、
何と…裁判が始まった途端
その本性を現していく~
ちょっと待て!
ロンゴは…やっぱ、ヤバい奴じゃないの~ フィンケル大丈夫~?となるわけだ~
結末は、観てからのお楽しみで!
キャスト紹介
この作品も原作同様に賛否別れる評価になっているが、
フィンケル役のジョナ・ヒルとロンゴ役のジェームズ・フランコの評価は高かった。
正直、この2人の演技で助けられてる?…と思うよ
特に、フランコのサディストぶりは必見!
正に、息を吐くように嘘をつくとはこの事
マイケル・フィンケル/ジョナ・ヒル | ニューヨーク・タイムズの記者だったが、捏造記事を書いたせいで解雇されてしまう |
クリスチャン・ロンゴ/ジェームズ・フランコ | 妻子を殺害したとしてFBIに逮捕される メキシコでの逃亡生活の間、フィンケルの名を名乗っていた |
ジル/フェリシティ・ジョーンズ | マイケルの妻 失業したマイケルを支えている |
メアリージェーン・ロンゴ/マリア・ディッツィア | 殺害されたロンゴの妻 |
あらすじ
ベッドの上の小さな旅行カバンには、
まるで眠っているような幼い少女が横たわっていた。
何者かが、少女の傍らにティデベアのぬいぐるみを落とす…
可哀想な少女が大好きだったぬいぐるみだった。
そして、そのカバンのファスナーがそっと閉じられていく…
家から移動した何者かは、そのカバンを海に捨てた。
すると、カバンはゆっくりと暗い海の底へ沈んで行った…
その数日後、カバンが発見された。
検死台へと運ばれたカバンから汚れた海水が溢れる。
そして、検死官がそのカバンを開けた…
彼は、その残酷な光景に思わず息をのんだ。
カバンの縁からは、濡れたティデベアの耳が見えていた。
コートジボワール
「太い棒や鎖でたたかれた」
「どこを?」
「背中を」
ニューヨークタイムズの記者マイケル・フィンケルは、
”アフリカにおける奴隷貿易”に関する取材でここに訪れていた。
彼は、通訳を介し奴隷労働を強いられた青年たちにインタビューしていた。
「ケガは? 血が出た?」
「時には」
フィンケルはメモを取り、また質問をした。
「たたくのは雇い主?」
しかし、彼らが通訳に何かを訴えている。
それを察したフィンケルは
「ニューヨーク・タイムズだから安心して
君を助けたい 事実を話してくれ」
と彼らに心配ないことを伝えた。
ところが…
「話をする変わりに…」
1人の青年が催促したのだ。
「ああ 分かってる」
通訳が答える。
そこで、フィンケルは彼らに紙幣を見せた。
「ほら 話してくれたら払うと伝えてくれ」
通訳が彼らに伝えると
「カカオ農場の雇い主にたたかれたのか?」
「そうだ」
今まで口を開かなかった男が答えた。
フィンケルはメモを取り、次の質問をした。
「両親は死んでいるね」
「いや 故郷で暮らしている」
フィンケルは別の男を指した。
「両親が亡くなっているのは彼?」
「そうです」
通訳が答えた。
そこで、フィンケルは一瞬考えたが…
立ち上がり男達へ紙幣を渡した。
一人一人渡していくと、
先ほど“背中をたたかれた”と答えた男が目に入った。
フィンケルはその男を呼び止め
「背中を見せてくれ」
とエビデンスを求めた。
「写真を撮りたい 安心して 記者だよ タイムズのフィンケルだ」
フィンケルは、男に身分証を見せた…
続きは本編で!
勝手に私見考察
ここからはネタバレを含みます
ロンゴ裁判の判事のセリフ
「あなたの話など誰も信じませんよ」
殺害した妻に罪を被せようと
法廷でウソをついたロンゴに対する一喝だ。
ところが、フィンケルはやっとここで
自分がまんまと騙されていた事に気づくのだ!
観ているこっちは、まだ何かあるだろう?本当に簡単に騙されてないよね?
と、要らぬ心配をしながらラストに突入していく…
しかし、そんな不安をよそに
このニューヨーク・タイムズの元記者は、
サイコパスの凶悪犯にいいように転がされていたのだ!
このオチ…ビックリするわ~ しかも実話…
しかし、このまま期待外れに終わる訳には行かないので、
この作品に込められたテーマを考察してみよう
1回目のコートジボワールで捏造記事を書いた時点で、
フィンケルの目は曇ってしまっていたのだろう。
どうやって売れる記事にするか…
日本でも言われているが…
結論が先にあり、そこへ向かって記事を書き上げていくのだ!
真実よりも、売れる記事!
2回目、ロンゴの告白を裁判後に独占スクープできる…
もう一度、ジャーナリストとして復活できる~
そんな強い願望を抱いていたのだろうが
ロンゴは狡猾にも、そんなフィンケルの心の隙に付け込んだ…
再起を願ったフィンケルは、ロンゴを信じる唯一のおバカさんに!
3度目、死刑判決を受けたロンゴの面会に訪れたフィンケル。
ロンゴは、まだ諦めていなかったが…
さすがに、この時フィンケルはロンゴのウソを見破った。
この作品…ロンゴの巧妙な(詐欺の手口?)手口が分かってから観ると、
そら恐ろし
詐欺師ってこうなんだろうな~て事が分かる
で、この作品に込められたテーマとは…
欲で曇った目では、真実は見抜けない!
くらいしか…思いつかなかった~