今回紹介する映画は フォール・フォー・ミー
概要
2025年のドイツのエロティック・スリラー映画
監督:シェリー・ホーマン
アメリカ生まれ、ドイツ育ちのホーマンは、ドイツ映画界を拠点に活動している。
脚本:シュテファニー・シホルト
南アフリカ出身のシホルトは、
何と、あの反アパルトヘイト学生運動に積極的に参加し、
南アフリカ学生全国連合の広報担当者を務め、
1990年にネルソン・マンデラの帰国歓迎集会を撮影した制作チームAVAを率いた強者だ。
その後、ドイツに渡った彼女は、ホーマン監督と同じミュンヘンテレビ映画大学で学んでいる。
そんな、2人がタッグを組んだ作品は…
女性の敵!
ロマンス詐欺を題材にしたエロティック・スリラー~
2025年8月21日にNetflixで全世界同時公開されている。
原題:Fall for me
原題の直訳「私に恋をして」が被害女性の心の叫びのようで、なんか虚しな~
上映時間:105分
ツッコミどころ満載もサックと見られるスリラー
とにかく、スペインのマヨルカ島のロケーションが最高!
その美しい景色とは反対に、次々と罪のない女性たちがロマンス詐欺の餌食とされる…
興味深いテーマだが…
その評価は、ありがちなストーリーに想像通りの展開で意外性は皆無とイマイチな意見が多い。
個人的に良かった点を挙げれば
ロマンス詐欺被害女性の心境を疑似体験できる。
この作品で描かれている詐欺の手口はありふれたもの、
尚更、恋に盲目的な被害女性たちにヤキモキしてしまう!
強いて見所をあげるなら、ここが一番ではないかな…
キャスト紹介
日本では、なかなかドイツ作品を観る機会が少ないので、
この作品のキャストの中で知る人物は皆無だったが、
唯一、不動産投資家のニック・ウンターワルト役のトーマス・クレッチマンを
見覚えがある人もいるのではないかな。
彼の出演作には、
- スターリングラード(1993年)のハンス・フォン・ヴィッツラント中尉
- 戦場のピアニスト(2002年)のヴィルム・ホーゼンフェルト大尉
- キングコング(2005年)のエングルホルン大尉
- ワルキューレ(2008年)のオットー・レーマー少佐
また、近年ではマーベルの
- キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014年)
- 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年) ヴォルフガング男爵
などなど多数の大作に出演している。
また、その作品の使用言語が英語、ドイツ語、フランス語にノルウェー語と
実にバイリンガルに活躍していることに驚く。
リリ・フンケ /スヴェンヤ・ユング | 母親の死後、妹ヴァレリアの法廷後見人になっている マジョリカ島へヴァレリアに会いに訪れる |
トム・ゾマー/テオ・トレブス | ナイトクラブのマネージャー リリの滞在先の隣人 |
ヴァレリア/ティジャン・マレイ | 年の離れたリリーの妹 4ヶ月半前にアプリで知り合ったマニュと婚約 |
マヌ/ヴィクトル・メウテレット | ヴァレリアのフランス人の婚約者 ホテル・ミラベルの支配人と紹介 |
ニック・ウルターウォルト/トーマス・クレッチマン | マジョリカ島の不動産王でヒラソルの夫 |
ヒラソル /ルシア・バラード | ニックの妻 |
ビー/アンチェ・トラウエ | マヌの元カノでマヌに騙され全財産を奪われたと訴える |
あらすじ
<詐欺を成功させる 秘訣を知ってる?
詐欺師は相手の欲しいものを知ってる
絶妙なタイミングでそれを差し出すの>
1人の若い女性がマヨルカの美しい海中にいる。
そこへ、彼女を追って1人の男が飛び込んだ。
その時、彼女の脳裏に、彼との情熱的な日々が駆け巡った…
スペイン マヨルカ島 パルマ・デ・マヨルカ空港
到着したばかりの空港ロビーは、観光客や大勢の人々が行きかい賑わっていた。
「ええ 同感 パリに行って 直接話をつけるのは いい判断だったと思う」
監査人のリリ・フンケは、楽園のようなマヨルカ島に着いても、
仕事に追われてスマホを切れないでいる。
「でも 無理は止めて あくまでも適切にね」
その時、通りすがりのショップに並ぶビキニが目に留まった。
「それなら また税務調査が入る」
リリは、その中から黒色のビキニを選びレジに向かった。
「どうも」
店員が挨拶をした。
「お願い」
リリはレジにビキニを置いた。
「妹がこっちに戻ってるの」
会計が終わると店員は
「いい休暇を」
と愛想よく挨拶した。
「ありがとう」
リリも笑顔で手を振り、店を後にした。
空港の玄関には“ようこそ”と書かれていた。
その扉が開くと…
眩いばかりの陽ざしが、いきなり飛び込んでくる。
一瞬、目を細めるが、
その眩しさに慣れると、まるでヤシの木が出迎えているかのように並んでいる。
「リリ」
その時、赤いオープンカーから
妹のヴァレリア(通称ヴァレ)が大きく手を振って呼んでいる。
「ヴァレ」
リリの元へ駆け寄ったヴァレリアを思い切り抱きしめ、
久しぶりの再会を2人は喜んだ。
「会いたかった」
「私も」
リリに甘えるヴァレリア
彼女がまだ幼い頃に両親は亡くなり、
母親に代りリリが妹の世話をしてきたのだ。
「行こう」
ヴァレリアは、リリのスーツケースを引いて車へ向かった。
「あんたの車?」
「そうよ」
「買ったの?」
いかにも高級そうな赤いオープンカーだ。
そんな車を…
リリは訝しく思った。
「その話は後よ」
しかし、せっかくの再会に水を差したくない。
2人は車に乗り空港を後にした。
続きは本編で!
只今こちらの動画配信サイトでご視聴頂けます
(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
ここからはネタバレを含みます
ロマンス詐欺の見分け方を考察
この作品の冒頭の1発目
<詐欺を成功させる 秘訣を知ってる?
詐欺師は相手の欲しいものを知ってる
絶妙なタイミングでそれを差し出すの>
とナレーションが流れるが、
これはトムがリリに詐欺の手法を告白した時のセリフ。
彼らは獲物をよ~く観察し、ベストタイミングで触手を伸ばす。
親切を装って、小さなことから大きなことまで…
リリとトムの出会いのシーン
実は、この手法を使ってリリの気を引いているのがわかる。
用心深く、お堅いリリがトムのこの手法にまんまとハマっていくところが面白い。
そして、トムは、それを繰り返す事で獲物の信頼をガッチリと掴み
リリに遺産の土地を売らせるように仕向けた
そうです!獲物を次第にコントロール下に置く(とにかくコミュニケーション能力が高いのだ)
そして、頃合いをみて被害者の仮面を被りお金の搾取へと一気にたたみかける!
人間って、1度信頼してしまうと…
詐欺を見抜くことは非常に難しいでしょう
だから…ちょっと待って!
もし、自分だったら大切な人に借金を頼むのか?
と自身の心に問いかけてみる!
少しでも心に違和感を覚えるなら(不誠実な相手には必ず感じるもの!)
とその直感を無視しない!
そして、その違和感が拭えない時は…
決して1人で判断しない!(親友、両親、専門家に相談へ)
大雑把なストーリー展開が仇になったか…
このブログでは、何度も書いているが
ヨーロッパの作品は実に大雑把!
ストーリー展開や主人公心情を細やかに演出する作品は少ない。
だから、これらの作品を楽しむには、
ある種の想像力を働かさなければいけない。
それでは、私なりの独自解釈を挙げてみたい
- リリはマジョリカ島に来る前に、性格の良い彼氏と別れている 本気で人を好きになった事がないのでは?
- リリとトムは初対面でお互いに惹かれ合っている トムはその後に、詐欺を依頼されている
- 多分、リリは今までの人生をお堅いイメージで生きてきた 今までの殻を破り大胆な本当の自分を知る
トムとリリを上記の視点でみて行くと、それなりに楽しむことができた。
そして、詐欺が暴かれた一年後のラストシーンでは…
罪を償った(警察に通報し自首した事から刑期の取引をしているだろう)
トムは、孤独な人生と決別し愛する人(リリ)の元へ帰り、
リリは本当に愛する人(トム)を見つけた…
そのリリの感情はラストシーンの
彼女の表情が全てを物語っている。
そして、その感動のワンカットでラストを迎えるのだ!