今回紹介する映画は ニューヨーク・オールド・アパートメント
概要
2020年スイス製作の青春ヒューマンドラマ
監督:マーク・レイモンド・ウィルキンス
脚本:マーク・レイモンド・ウィルキンス、ラニ=レイン・フェルサム
ウィルキンス監督にとっては長編映画デビューとなった作品で、
2020年の第43回サンパウロ国際映画祭で世界初公開された。
上映時間:98分
原題:The Saint of the Impossible(不可能の聖人)
原作:オランダ人作家アーノン・グランバーグの1998年の著書「De heilige Antonio」
グランバーグは、ドイツ出身のユダヤ人移民の家庭で育ち、
彼の母親は強制収容所アウシュヴィッツの生存者である。
幸せを掴むために祖国ペルーを捨て、ニューヨークの片隅で息を潜めて暮らす不法移民のデュラン一家。
しかし、待っていたのは不法移民の彼らにとって生きていくのがやっとの生活だった。
そんな疲弊した彼らに待ち受ける罠。
突然、降りかかった悲劇によってピュアで善良な彼らが陥る負の連鎖を描いている。
また、この作品では不法移民のお金の問題に加えて見つかれば国外追放という恐怖。
そして、市民権もなく何の力もない自分たちを「透明人間」と呼び、
息をひそめて生きる彼らの過酷な状況がドキュメンタリータッチで描かれている。
キャスト紹介
ポールとティト役の2人の青年
素人?俳優?って気になって仕方ない
チョット調べたら…
何と彼らは、南米ペルーのオーディションで選ばれたシンデレラボーイなんだとか。
しかも、アドリアーノ・デュランドとマルセル・デュランドは本当の双子で、
本作が映画デビュー作となる期待の新星。監督も長編デビューだしね…
ペルーでLOS MORDOSというロックバンドで活躍しているようだ。
そんな2人は、16歳のポールとティトの役を演じるために演技のレッスンを初めて受けたそうな。
どうりで…よく似てると思った
だが、彼らの初々しい演技が“聖人”のイメージにピッタリハマっていたと思う
ラファエラ/マガリー・ソリエ | 不法移民でウェイトレスをしながら 二人の息子を女手一つで育てている |
ポール/アドリアーノ・デュランド・カストロ | ラファエラの純朴そのものな双子の息子の1人で16歳 不法移民で昼は語学学校へ通い中華料理の配達員をしながら家計を助けている |
ティト/マルセロ・デュランド・カストロ | ファエラの純朴そのものな双子の息子の1人で16歳 ポールと共に昼は語学学校へ通い 中華料理の配達員をしながら家計を助けている |
クリスティン/タラ・タラー | 美人だが破天荒で神秘的な魅力の性格 クロアチア出身でポールとティトと語学学校で出会う |
エヴァルト/シモン・ケーザー | スイスの大衆小説家 ラファエラに好意を寄せる店の客 |
あらすじ
ニューヨークで暮らす不法移民のラファエラは、
友人のルーチャと共に、
連絡の取れない2人の息子を必死で探していた。
ルーチャの古い車で一家の住んでいたアパートに到着すると、
ラファエラは急いで階段を駆け上がり、部屋の前へとやって来た。
そこには“閉鎖‐保健衛生局”と貼られ入室禁止になっている。
ラファエラが震える手で鍵を開け
恐る恐るドアを開けると、
部屋の中は、あらゆる物が散乱し
どの部屋も惨憺たる状況だった。
「ポール?ティト?いるの?」
ラファエラは震える声で息子たちの名前を呼んだ。
「なんてこと?」
どこもかしこも、足の踏み場もないほど荒らされている。
そして、息子たちはどこにもいなかった…
「荷物をまとめなさい 見張ってるから」
この状況を察しルーチャが急かせるが、
ラファエラは、絶望感に苛まれ涙が止まらなかった。
ポールとティトの部屋も物が散乱し
2人がお祈りを捧げていた祭壇も壊されていた。
聖リタ像も床に落ちて粉々に割れてしまっている。
その時、ラファエラは散乱した物の中から語学学校の教科書を見つけた。
「急がないとまずいわ」
ルーチャが心配しているが、
ラファエラはページをめくった。
すると、その中に美しい女性の写真が挟まっていた。
その教科書には、今まで気づかなかった息子たちの世界があったのだ。
彼らは、至る所に落書きをしてた…
「僕らが“透明人間”になってから2年2ヶ月と2日が経った
家族で国境を越えた…」
兄弟は語学学校の後、
自転車でニューヨークの街中を走り回り、
中華料理の配達の仕事をして家計を助ける日々を送っていた。
続きは本編で!
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(配信は投稿時のものとなります)
勝手に私見考察
ここからはネタバレを含みます
原題“不可能な聖人” の意味とは…
どれだけピュアで善人でも犯罪者になるしかない!
と言いたいのだろうか…
さてはて、確かに彼らの状況には同情するが、
まず、就労ビザ取って法律守って入国すれば問題ない話じゃないの!と思うのは私だけ?
まあ、祖国がペルーなだけで不運なんだけど…
ペルーなら政治は腐敗しきっているだろうし、仕事もなくちゃんとした教育も受けられない…
と想像できるが、
それでも、やはりアメリカ大使館にビザ申請すべきだし、
ましてや、息子も一緒に犯罪者にしてしまって、
将来に希望なんてあるはずが無いだろう!
ただただ、アメリカに行けば仕事があって何とかなるだろう…
と思ったに違いないが、世の中そんなに甘くないのだ~
おまけに、ラストでは
アメリカとペルーと離れ離れになってしまった親子。
ポールとティトは今度は船でアメリカに向かうらしい展開で終わるが…
タイトル通り、また不法入国するオチだ!
アメリカでは、強制退去となれば10年は入国禁止!
いやいや、これでは彼らの未来は
いつまで経っても“透明人間”のままだ~