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Netflix『チェスナットマン』感想・考察!北欧ノアールの魅力 猟奇殺人と”母親たちの悲痛な現実”を描く

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今回紹介するドラマは チェスナットマン

デンマーク発のNetflixオリジナルシリーズ

チェスナットマン(原題:Kastanjemanden)』は、

極上のミステリーでありながら、

現代の母親たちが直面する痛切な現実を浮き彫りにした傑作です。

本作の魅力と、そこに込められた重層的なテーマについてご紹介します。

概要

2021年9月29日にNetflixで配信されたデンマークの犯罪ドラマシリーズ。

原題Kastanjemanden(デンマーク語)

全6話(1話52分~59分)

原作:デンマークの小説家ソレン・スヴァイストゥプの同名ベストセラー小説

彼は、名作『THE KILLING/キリング』の生みの親

本作でも脚本と製作総指揮を務めています。

このシリーズは2024年にシーズン2への更新が決定し、

 2026年5月に「ザ・チェスナット・マン:かくれんぼ」というタイトルで

Netflixにて配信されています。

 

The Chestnut Man | Official Trailer | Netflix

 

北欧ノアール(Nordic Noir)としての真骨頂

本作もデンマーク作品らしいダーク&冷たい空気感のサスペンスで十分に楽しめます。

この独特な作風にハマっています。

  • 薄暗く美しいビジュアル: 北欧特有のどんよりとした曇り空、鬱蒼とした深い森、そして美しい街並みを包む冷たい空気感が、作品全体の孤独感と緊迫感を高めています。

  • 社会の「闇」への切り込み: 単なる犯人捜しにとどまらず、デンマークの児童保護制度の隙間、家族の崩壊、そして福祉の網から漏れてしまった子供たちの孤独など、リアルな社会問題が物語の根底に流れています。

このダークなサスペンスを気に入った方にこちらも↓お勧めのシリーズです

おススメ度:★★★★★ 北欧ノアールを存分に堪能できる作品。ダークで地味な作風ですが、ストーリーが実に深く人間や社会の本質をついてきます。複雑な人間模様に主人公2人のストレートな感情表現は抑えめですが…そこが北欧作品の特徴であり、視聴側の想像力を発揮して観て下さい。
 
 
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キャスト紹介

本作で心に傷を抱えた捜査官マーク・ヘスを演じたミッケル・ボー・フォルスガード。

彼は2023年のデンマークの歴史コメディ『エーレンガルト:誘惑の芸術』で

チョット間の抜けた画家カゾット役をコミカルに演じています。

なんて演技の幅の広いこと!

彼が気になった方は、この作品も併せて楽しんでみて下さいね。

Netflixにて配信中です。

ナイア・トゥーリン/ダニカ・クルチッチコペンハーゲン警察の優秀な殺人課刑事
仕事への情熱と娘への愛情の間で葛藤している
マーク・ヘス/ミッケル・ボー・フォルスゴートゥーリンとコンビを組むことになる、ユーロポール(欧州警察組織)の刑事
過去のトラウマから心を閉ざしていたが、トゥーリン親子との間に特別な感情を抱くようになる

本当は鋭い洞察力を持つ優秀な刑事
ローザ・ハルトゥング/イベン・ドールナーデンマークの社会大臣
1年前に愛娘を誘拐されるという悲劇に見舞われながらも、

強い意志で公務に復帰しようとする母親
サイモン・ゲンツ/デビッド・デンシック法医学研究所長
コペンハーゲン警察の鑑識を務めている
トゥーリンの親友で信頼も厚い
フレデリック・フォーゲル/モーテン・ブロヴンローザの学生時代からの友人で秘書 
ローザを首相にさせたいと思っている

あらすじ 第1話(57分)

1987年

肌寒い秋のメン島

山道を走る1台のパトカーに無線が入った。

「マリウス ウロムの牛がまた逃げた」

「電話したか?」

帰宅途中だったマリウスはめんどくさそうに応答した。

「誰も出ない 帰宅が遅れると奥さんに伝えておく」

「分かった 向かうよ」

後部座席のジャーマンシェパードが、主人の気持ちを察したように残念そうに鳴いた。

マリウスは、腹ごしらえに妻のお手製のレバーパテェを一口頬張る。

すると間もなく、ウロムの農場に到着した。

奥にある母屋へ向かうと、そこにはウロムの車が止まっている。

「ウロム」

マリウスはウロムを呼んだが、中からは誰の返答もなかった。

彼は玄関をノックし

「ウロム また牛が逃げたぞ」

と声をかけたが、やはり家の中は静まり返っている。

しかし、どこからか音楽が流れているようだ。

そこで、マリウスは家の周りの捜索を始めた。

「ウロム」

マリウスは、横に建てられている納屋で

銃に撃たれハエが集っている豚の死骸を発見した。

そして、死骸の横には空の薬莢が落ちている。

違和感を感じて、マリウスは薬莢を拾うと臭いを嗅いだ。

その時、車にいるシェパードが突然激しく吠え出した。

「静かにしろ」

マリウスが車の方へ引き返すと、

シェパードは母屋に向かって吠え立てている。

マリウスはただならぬ空気を感じた。

彼は意を決して、母屋の中へ入って行った。

「ウロム」

廊下を進みキッチンの手前でノックしたが、誰も見当たらず音楽だけが響いている。

その奥のダイニングへ入ると…

マリウスは自分の目を疑った。

そこには、テーブルに突っ伏した女性の死体があったのだ。

それはウロムの娘だった。

「ウソだろ 何てことだ」

一気に緊張感が張り詰め、マリウスは銃を構えた。

「警察官のマリウスだ」

彼は再び大声で呼びかけながら、更に家の奥へと進んだ。

今度は、ウロムの息子が廊下の壁にもたれ床に座っている。

「なあ」

マリウスが肩へ手をかけると、彼はそのまま倒れてしまった。

確かめると彼も既に息はなかった。

再びマリウスは、奥へ進んだ。

そして、今度は浴室のあまりの惨憺たる光景に、

一瞬立ちすくんでしまった。

何と、真っ赤に染まった浴槽に女性の死体が浸かっていたのだ。

ウロムの妻は頭部から大量の血を流している。

そして、床には凶器らしきオノが落ちていた。

その時、マリウスは背後に気配を感じ振り向くと、

扉の裏で気を失っている少年を発見した。

マリウスが声をかけると、少年は息を吹き返しせき込んだ。

やっと、生存者を発見した彼は、

急いで家の受話器を掴みダイヤルを回した。

「警察です」

「俺だ ウロムの家に救急車を」

「何が?」

「死体が3人 少年は重傷だが生きている」

「長男?」

「いや 末っ子だ 2人いる里子の少年の方だ」

「里子の少女は?」

その時、大きな物音が聞こえた。

「至急応援を頼む ウロムの捜索もだ」

マリウスが伝えると

「今すぐそこを出て」

電話の警察官が心配そうに警告する。

しかし、マリウスにその警告は届かなかった…

彼は受話器を置くと、音のした方へゆっくりと進んで行った。

そして、そっとドアを開けると、地下へ続く階段があった。

「警察だ おい」

彼はかがんで覗いたてみたが、奥は真っ暗で様子はわからなかった。

マリウスは警戒しながら、ゆっくりと階下へ降りた。

地下に着くとカギの付いたボロボロの板戸があった。

その扉を開けて、マリウスは奥の部屋へと入って行った。

真っ暗な中に、薄汚れたマットレスが無造作に置かれ、誰かの部屋のようだ。

おまけに、棚にはおびただしい数のチェスナットマンが飾られている。

その時、背後でカンが転がる音がした。

マリウスは振り返り銃を構えたが、

何かを見つけると、彼は大きく息を吐いて緊張を解いた。

壊れかけた棚の下に、里子の少女がうずくまっていたのだ。

「大丈夫 怖くないよ」

マリウスは優しく少女に語りかけ銃をそっと棚の上に置いた。

「怖くないよ 警察だ」

しかし、少女は怯えて中々出てこない。

「マリウスだ 君を助けに来た アストリッドだね?」

彼女が頷いた。

「君の部屋かい?」

その時、マリウスの背後で影が動いた。

すると、その影の存在に気づいたアストリッドは、

沈黙のまま耳を塞ぎ膝に顔をうずめた。

そして、マリウスがゆっくりと後ろを振り返った。

その瞬間…

鈍い音と共に彼の血がチェスナットマンへ飛び散った。

続きは本編で!

只今こちらの動画配信サイトでご視聴頂けます

(配信は投稿時のものとなります)  

Netflixで今すぐ観る

 

 

まとめ|「働く母親」の葛藤と、社会が突きつける残酷な問い

ここからはネタバレを含みます

 

本作の最も深いテーマは家族だったと思います。

親を失った子供たち…

彼らは、その運命によって、

ある者は国のために尽くす政治家になり、

また、ある者は復讐に燃える連続殺人鬼にもなってしまう

そんな恐ろしさを描いていました。

また、作中では異なる立場の母親たちのリアルな姿も描かれています。

1. 仕事と子育ての狭間で擦り切れる主人公・トゥーリン

主人公の女性刑事トゥーリンは、凶悪事件の最前線に立ちながら、

一人娘を育てるシングルマザー。

彼女は殺人課の仕事に未練を持ちながら

サイバー犯罪課への異動を希望します。

しかしそれは「もっと娘との時間を作るため」

それでも、ひとたび事件が起きれば、娘を祖父に預けっぱなしにして捜査に没頭せざるを得ず、

常に「子供への罪悪感」と、「刑事としての使命感」の板挟みに悩みます。

しかし、その彼女の苦悩は、多くの働く母親たちと同じなんです。

私の周りのお母さんたちもこの罪悪感を抱え働いています。

2. 喪失と公人の立場に引き裂かれる政治家・ローザ

もう一人の母親である社会大臣のローザは、娘を失った深い悲しみを抱えながらも、

政治家としての職務に復帰します。

しかし世間やメディアは、彼女が「母親としての役割」を十分に果たしていたのか、

仕事ばかり優先していたのではないかと、暗に問い詰めるような目を向けます。

女性の社会進出を唱える一歩で、理想の母親像を押し付けます。

犯人が突く「母親の脆弱性」

本作の犯人の標的は「子供を適切に育てていない」とみなされた母親たちでした。

育児放棄したとみなされた母親への処罰。

しかし、母親自身も夫や恋人との関係などに悩んでいたのです。

それは、決して母親一人の責任ではなく

「社会の無理解、支援不足」と社会的な欠陥も浮き彫りにされました。

本作はミステリーというフィルターを通して、

母親たちを取り巻くあまりにも過酷な現実に焦点を当てていました。

本作は、ただのエンターテインメントにとどまらない、

深い余韻を残す社会派ミステリーとして非常におすすめの一作です。

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